インフルエンサーの経営参入が相次ぎ、脱毛ブームが再燃しています。
でも、ひとくちに脱毛といっても、分かりづらいし不安ですよね。
そこで当記事では、脱毛の基本となる「脱毛の仕組み」、「医療脱毛とエステ脱毛の違い」そしてそれぞれのメリット・デメリットを調べてみました。
脱毛のしくみ
そもそも「脱毛」はどのように行なわれるのでしょうか。
独立行政法人・国民生活センターによると、脱毛のしくみは以下のとおりです。
※参考資料:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」
高い脱毛効果を得るためには、皮脂腺開口部から毛乳頭の間にあるバルジ領域に存在する、毛を作る細胞である「毛包幹細胞」を熱変性(破壊)する必要があります。
※図は国民生活センターHPより引用
皮膚の表面ではなく、熱で内部の細胞を壊すことで、毛の再生を防ぐのが、いわゆる「脱毛」の技術です。
「医療脱毛」と「エステ脱毛」の定義って?
国民生活センターによると、脱毛施術は大きく次の2つに分けられます。
- 医療機関で行なわれるもの(医療脱毛)
- 医療機関以外で行なわれるもの(エステ脱毛)
毛乳頭、皮脂腺開口部を破壊する行為は「医行為」のため、医療機関でしか行なえません。
なので、いわゆる「永久脱毛」は医療脱毛でのみ可能。
エステ脱毛はあくまで「一時的な除毛、減毛」を目的として行なわれます。
「医療脱毛」と「エステ脱毛」の線引きは?
では、医療脱毛とエステ脱毛の施術の違いは何でしょう。
簡単にいえば「照射する光またはレーザーのパワー」に差があります。
光線の強さは 医療脱毛 > エステ脱毛
このパワーの差が「医療脱毛のほうが確実」といわれる理由です。
なお、脱毛の方法には主として
- レーザー脱毛
- 光脱毛(フラッシュ脱毛)
- 電気脱毛
この3つがあります。
脱毛効果が高い「レーザー脱毛」
皮下の黒い毛のメラニン色素にレーザーを当てる脱毛方法。
レーザーを吸収したメラニン色素が熱を持ち、毛包全体に熱が伝わり、毛乳頭などを破壊します。
細胞を破壊するため、医療機関でのみ施術可能です。
レーザーより肌にやさしい「光脱毛」
レーザー脱毛に比べて緩やかに脱毛を促すのが光脱毛です。
光脱毛にも、機器により以下の3つの方式があります。
- IPL(インテンスパルスライト)方式
- SSC(スムーススキンコントロール)方式
- SHR(スーパーヘアリムーバブル)方式
IPL方式
”インテンス”とは「激しい、強烈な」といった意味。
レーザー脱毛と同じく、メラニン色素に作用するため、脱毛効果が得やすい方式です。
IPL脱毛は医療機関、エステどちらでも行なわれていますが、エステIPLはパワーを抑えた施術となります。
SSC方式
正確には脱毛というよりも「抑毛」「制毛」のための方法です。
SSC脱毛は肌に抑毛効果のあるジェルを塗り、その上から光を当てます。
照射する光はIPL脱毛よりも穏やかなため、効果の現われ方は緩やか。
ただし、肌にやさしいというメリットがあります。
SHR方式
「蓄熱式脱毛」と呼ばれる方式です。
レーザー脱毛、IPL脱毛が黒いメラニン色素をターゲットとするのに対し、SHR脱毛は「バルジ領域」(前掲の図参照)に熱を蓄積させて作用します。
毛の色、肌の色を問わず受けることができ、痛みもほぼ無い施術方式です。
電流を流す「電気脱毛」
電気脱毛は毛穴にニードル(針)を差し、電流を流すことで毛乳頭などを破壊する方法。
医療機関でのみ受けることができます。
「最も確実な脱毛」といわれますが「痛み」と「費用」「時間」の面でハードルが高い方式です。
脱毛リスクは「ゼロ」ではない
「ムダ毛のないキレイな肌にする」
脱毛の目的は明確です。
しかし、脱毛施術が「肌に与えるリスク」もゼロではありません。
国民生活センターには2012年度以降の約5年間に、脱毛施術により危害を受けたという相談が964件寄せられました。
危害の内容は「皮膚障害」「やけど」が多く見られ、治療に長期間を要した事例もありました。
脱毛によって得られる満足感は大きいものです。
しかし「やけど」「痛み」など「リスク」もあることをしっかりと頭に入れておきましょう。
よりリスクが高いのは?
医療脱毛とエステ脱毛。
どちらのほうがリスクが高いのでしょうか。
国民生活センターのアンケートでは「脱毛で身体に何らかの症状が出た」と答えた人に「医療機関」と「エステ」どちらの施術で症状が出たのかを聞きました。
回答結果は以下のとおりです(回答数255)
- 医療機関・・・51.0%
- エステ・・・・43.9%
- 分からない・・5.1%
医療機関のほうがやや多くなっていますが、どちらにおいてもトラブルが発生する可能性はあります。
※参考資料:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」
もしもトラブルが発生したら・・・
脱毛施術を受けてトラブルが起きた場合、とるべき対処法は次の3点です。
- 施術を受けたクリニック、エステに申し出る
- 医療機関を受診する
- 消費生活センターなど公的機関に相談
まず施術を受けたクリニック、エステにトラブル発生を申し出ましょう。
そのうえで必要ならば医療機関を受診します。
受診と並行して、不安が消えないのであれば消費生活センター等に相談しましょう。
※消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
お住まいの地域の市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内する、全国共通の3桁の電話番号です。
「医療脱毛」「エステ脱毛」のリスクとメリット・デメリット
医療脱毛とエステ脱毛が共存しているのは、それぞれにメリット・デメリットが存在するからです。
これから脱毛をしようと考えている方は、最低限の知識は得ておくようにしましょう。
「医療脱毛」のデメリット
より強いパワーの施術を受けられる医療脱毛の最大のデメリットは「痛み」。
個人差はありますが、痛さに弱い人にはハードルが高いといえます。
みずから脱毛サロンを経営するYouTuberのヒカルは「涙が出るくらい痛かった」と話しています。
「医療脱毛」のメリット
医療脱毛のおもなメリットは次の2つです。
- 確実な脱毛効果
- 医師が常駐
出力の高い機器を使える医療脱毛は、それだけ高い脱毛効果が期待できます。
細胞を破壊して毛の再生を防ぐ「永久脱毛」ができるのは医療脱毛に限られます。
また、トラブルが起きた場合にも医師による処置が受けられ、薬が処方できるのも強みです。
「エステ脱毛」のデメリット
- 効果が出るまでの期間が長い
- 治療、薬の処方ができない
医療脱毛のように、毛乳頭などに強力にアプローチできないエステ脱毛の施術は、それなりの期間が必要です。
また、肌にトラブルが発生した場合も、医師法に抵触するため治療、薬の処方ができません。
医療機関の紹介を受けるか、市販のクリームなどを提供してもらうことになります。
「エステ脱毛」のメリット
最後にエステ脱毛のメリットです。
- 痛みが少ない
- 肌に優しい
脱毛方式にもよりますが、「痛さ」と「肌への負担」が軽いのがエステ脱毛の最大の魅力です。
効果の表れ方は緩やかですが「痛くて続けられない」と挫折する可能性は低いといえます。
事前説明をしっかり受けましょう
「インフォームド・コンセント」という言葉をご存じでしょうか。
医療現場において、医師が治療方針などについて事前に患者に説明、同意を得ることをいいます。
脱毛においても医療脱毛、エステ脱毛を問わず、施術を受ける人が施術側に十分な説明を求めるのは当然の権利といえます。
国民生活センターのアンケートによれば、エステで脱毛を受けてやけど等の症状が生じた経験がある人のうち、トラブルや副作用に関する説明を施術前に受けたと回答した人は「31.3%」にとどまっています。
いざという時のために、起こりうるリスクについてもしっかり説明を求めましょう。